福岡市博多区に「博多北ハート動物病院」を開業された江坂先生にお話を伺いました。
飼い主さんとペットを笑顔で迎えたい。
博多北ハート動物病院では、診察中に笑ってもらえるような雰囲気作りを心がけているそうです。というのも、飼い主さんが病院にくる時は、かなり緊張して来られます。手元にいるワンちゃん達は、飼い主さんの緊張を感じ取り、同じく緊張してしまうとのこと。なるべく飼い主さんに笑ってもらい、動物たちもリラックスできる病院作りをされているそうです。
開業はいつですか?
- 江坂先生 ー
- 去年(2012年)の4月に開業しました。
その前は、神奈川県川崎市の動物病院で副院長として勤務していました。
ー 清潔感があり、とてもステキなデザインの病院ですね。
- 江坂先生 ー
- 内装、外装に関していろいろと迷ったんですが、できるだけナチュラルな雰囲気を出しつつ、
近所を通りかかる人に覚えてもらえる存在感のある色使いを心がけました。
獣医師を志したきっかけをお聞かせください。
- 江坂先生 ー
- 私が大学に入ってすぐのころ、飼っていた犬が急性フィラリア症で亡くなってしまいました。
教育系の学部に入る予定でしたが、このことがきっかけで、入学を取りやめ、1浪して獣医学科がある大学に入り直しました。
ー 合格した大学の入学を取りやめて、獣医を目指すとは、大変な勇気でしたね。
- 江坂先生 ー
- そうですね。大学に合格し引越しもしていました。荷物の荷解きをする前に、その子の訃報を聞き決断しました。今でも、その子のことを思い出します。
獣医師としてどういったことを心がけていますか?
- 江坂先生 ー
動物に対しては自分の子と思って優しく接するように心がけています。というか、自然と口元がほころんでしまうんですが。
一言で言うのは難しいのですが、動物医療は本人ではなく飼い主さんの意向に左右される、第三者医療になります。
人間で言うと新生児医療や小児医療と同じで、何事もお母さんに意思決定してもらう事になるので、十分な対話と説明が、何より大切だと思います。自分自身の痛みなら具体的にどうこうと考えられますし腹もくくれますが、わが子の痛みとなれば想像するしかなく心配でたまらないはずです。そんな親御さんに安心してもらえるよう、強い信頼関係を築けるようにといつも考えてます。
獣医師としてどういったことに喜びを感じますか?
- 江坂先生 ー
- やはり、自分の治療した動物が良くなって帰っていってくれると嬉しいですね。
ー 開業されて、印象に残っていることを教えてください。
- 江坂先生 ー
- 他の獣医師も同じように感じていると思いますが、難しい手術や治療がうまくいった子のことは、あまり覚えていないんです。むしろ、助けられなかったり手遅れだった子のことの方が強く記憶に残っています。
他にベストな方法がなかったかと何度も自問自答してしまうからでしょう。
飼い主さんへのアドバイスはありますか?
- 江坂先生 ー
動物の場合、人間と同じように考えなくてもよい場合があります。「ご飯をあまり噛んで食べない」ということをおっしゃる飼い主さんがいらっしゃるんですが、基本的に犬の場合、人間の様に咀嚼(そしゃく)することはありません。
歯石を取るためのデンタルガム等を与えた場合、ある程度噛んで飲み込めるサイズになってしまったら、飲み込んでしまいます。これは犬の習性ですので、呑み込んでしまうと歯石予防ガムではなくただのオヤツになってしまうので、その子の口に余るサイズのガムを与えることをお勧めします。
また、本人が自覚症状を訴えることができない動物は、よほど気をつけてみていないと、すでに病気が進行しているという場合があります。第3者から見てはっきりわかる症状が出た時には、それなりに病状が進行しています。犬の心臓病などでいうと、「最近、咳が多くなった」とおっしゃって動物病院にいらっしゃった場合、心臓の状態は、初期を過ぎ、中等度以上になっていることもあります。日頃から定期的な健康診断等で、小さな変化を捉えることができるかかりつけの獣医師がいれば、「なんだか最近毛艶が悪い」「お腹がゆるい」といった小さな症状から、初期段階の病気を見つけることが可能です。
ぜひ、大切なペットの為に、ホームドクターを見つけてあげてください。- 江坂先生ありがとうございました!
江坂 幸敏 先生 PROFILE
- 出身大学
- 北里大学 獣医学部
- 代診時代-修業先
- 長崎・熊本の動物病院勤務を経て、神奈川県川崎市 池田動物病院に10年勤務
- 休みの日の過ごし方
-
江坂先生 ー
最近はほとんど休みがなく、入院患者の治療をしています。
釣りが趣味なので、できれば毎週釣りに行きたいです(笑)。今年の夏は1回だけ行きました。
ドクターインタビューは、日々動物医療に立ち向かう獣医さんに焦点を当て、
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